カラダは食べたものでできている

目次

私たちのからだを構成するものの割合

人は、成長・発育やからだを維持、活動するためのエネルギーや栄養素を食べ物から摂取しています。糖質・タンパク質・脂質の3大栄養素に加え、ビタミン・ミネラルを含めた5大栄養素をバランスよく摂取する必要があります。

  • 水分60〜70%
  • タンパク質15〜20%
  • 脂質13〜20%
  • ミネラル5〜6
  • 糖質1%

栄養素の3つの役割

栄養素の3つの役割

  • からだの構成成分
  • エネルギー源
  • からだの機能調節

普段の食事の量に過不足があったり、不規則な食べ方をしたりしていたのでは、健康を維持できなくなります。からだは食べたものでできているのです。

これは細胞レベル=卵子でも同じ。細胞の構成物質も、大きく分けると、水が最も多く、次に多いのがタンパク質・脂質・糖質核酸などの有機物、残りが無機質です。卵巣の中に存在する卵細胞も、普段の食事の量に過不足があったり、不規則な食べ方をしたりしていると、卵子の質を維持できなくなります。

卵子の「構成成分」「エネルギー源」「機能調節」を良い状態で維持できなくなるということです。それどころか、偏った食事、粗悪な食べ物の摂取は、卵子を劣化させてしまうこともあるのです。残念ながら、今の生殖医療の技術では、卵子のアンチエイジング=若返りは、ほぼできません。

卵子は再生されない不可逆的な細胞なため、少しでも卵子の質を維持し、今より卵子の質を下げないことが大切になってきます。

育卵と食事において必要な3つの考え方

ここで、「育卵と食事において必要な考え方」を3つお伝えします。

① 卵巣・子宮内環境を整える

妊娠するために最も必要な条件とは、卵子の質を良い状態で保てるよう、卵子が育っている卵巣内環境を整えること、受精卵が着床し、妊娠継続できる子宮内環境を整えることです。

② からだ全体で考える

卵巣内・子宮内環境を、卵巣・子宮など生殖器のみで考えるのではなく、からだ全体で整えていくことが大切です。卵巣内・子宮内環境を良いものにするには、睡眠・腸内環境を整えることも大切ですし、良い栄養を摂取してからだの末端、まで巡らす血流も大切です。

③ 何をどう摂取するかが大切

からだの状態は、「どんなものをどのように食べるか」で決まってきます。ということは、まずは、からだと細胞を構成する成分の大半を占めている水分・タンパク質・脂質の摂取量と摂取の仕方を見直していきましょう。

いくら良いビタミンや葉酸を摂取しても、水・タンパク質・脂質を見直し、良いものにしなければ、望んでいる結果にはつながらないと言っても良いくらい大切なことなのです。

十分な栄養を摂れていますか?

「新型栄養失調」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

新型栄養失調とは?

『現代版栄養失調』ともいわれ、摂取カロリーは足りているどころか、むしろ過剰気味ともいえるのに、タンパク質やビタミン、ミネラルといった特定の栄養素が足りていないことで引き起こされる栄養失調です。

3大栄養素の糖質・タンパク質・脂質のほか、ビタミン12種類、ミネラル5種類、食物繊維(栄養成分)の合計18種類のうち、不足している栄養素は、20代女性で14種類、30代女性で15種類と言われています。

一般的に女性は、糖質は過剰に摂取しているのですが、タンパク質が必要量に達していません。ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、ポリフェノールなど抗酸化作用の栄養素も足りていないといわれています。

からだの構成成分であるタンパク質は、約20種類のアミノ酸が数十〜数千個集まって構成されています。食べ物に含まれているタンパク質は体内でアミノ酸に分解された後、必要とされる形のタンパク質に再合成され、筋肉や臓器、血液、あるいは酵素やホルモンなどになります。

タンパク質をしっかり摂取しないと、筋肉、臓器、血液、骨、髪などを健康な状態に維持することができません。これは卵子も同じ。酵素やホルモンなどがうまく機能せず、免疫力が低下するなどして、ホルモンによって育つ卵子が発育不良になってしまうのです。

その上、ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、ポリフェノールなど抗酸化作用のある栄養素が不足しているということは、老化の原因である活性酸素を除去できない状態を招き、卵子の質の低下・成熟を妨げる要因にも繋がります。

特に妊活中の女性たちは皆、栄養失調であると言っても言い過ぎではないと思っています。「私は違う」などと思うかもしれませんが、そんな風に思っているあなたも栄養失調の可能性が高いかもしれません。ぜひ改めて、普段の食事を見直すきっかけにしていただけたら嬉しいです。

特に妊活中にとって欲しい栄養素と多く含まれている食品

妊活中の女性に必要な栄養素=育卵に必要な栄養素とは、健康維持に必要な栄養素と同じなのです。

中でも、妊活中に摂りたい栄養素を下記にまとめたので、参考にしてください。

⚫︎ビタミンC

【効能】
免疫力を高める、ストレス軽減、来寺の脳や血管、骨の形成に欠かせない

【食材】
赤ピーマン、アセロラジュース、レモン、下記、キウイフルーツ、ブロッコリー

⚫︎ビタミンD

【効能】
カルシウムの吸収を助ける、妊娠率・出産率が高くなる、多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群の予防、着床改善、生死の運動率・正常形態精子率の改善

【食材】
鮭、サバ、牛のレバー、バター、チーズ、卵黄、きのこ類

⚫︎ビタミンE

【効能】
女性ホルモン・男性ホルモンの生成に関与、抗酸化作用

【食材】
ひまわり油、紅花油、アーモンド、うなぎ、あゆ、唐辛子、かぼちゃ、赤ピーマン

⚫︎βカロテン

【効能】
粘膜(子宮内膜)を正常にする、抗酸化作用、卵子のアンチエイジング効果

【食材】
紫蘇、モロヘイヤ、人参、パセル、よもぎ、ニラ、ほうれん草

⚫︎ポリフェノール

【効能】
血流促進による冷え改善、抗酸化作用

【食材】
ブルーベリー、すもも、いちご、赤ワイン、緑茶

⚫︎葉酸

【効能】
胎児の先天性異常のリスクを下げる(ビタミンCとビタミンB12と相互作用)

【食材】
枝豆、小松菜、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、オクラ、納豆、いちご

⚫︎鉄分

【効能】
黄体ホルモン分泌量の低下・卵子の質の低下を防ぐ。妊娠後、胎児に酸素を送るためには不可欠。

【食材】
レバー、牛ヒレ肉、牛もも肉、牡蠣、高野豆腐、ほうれん草、小松菜、焼き海苔

⚫︎カルシウム、マグネシウム

【効能】
赤ちゃんの骨格形成に関わる大切な栄養素(カルシウム吸収にはマグネシウムも必要)

【食材】
(カルシウム)
小松菜、モロヘイヤ、ししゃも、イワシ、豆腐

(マグネシウム)
枝豆、オクラ、納豆、イワシ、わかめ、ごま、アーモンド

⚫︎亜鉛

【効能】
男性不妊に効果あり。胎児がハッタルする過程で低身長や低体重などの発達障害のリスク軽減(ビタミンCと相互作用)

【食材】
牡蠣、牛もも肉、チーズ、卵黄、納豆、高野豆腐、カシューナッツ、アーモンド

⚫︎ビタミンB6、ビタミンB12

【効能】
葉酸と共にヘモグロビンの合成促進、貧血予防

【食材】
(ビタミンB6)
ニンニク、マグロ、鰹、イワシ、鶏ささみ、鶏胸肉、鶏ひき肉

(ビタミンB12)
しじみ、あさり、牡蠣、イワシ、秋刀魚、すじこ、たらこ

⚫︎コエンザイムQ10

【効能】
高い抗酸力→卵子の老化と卵巣予備能の低下を遅らせる効果、生死の運動能力改善

【食材】
豚肉、鶏肉、レバー、サバ、イワシ、鮭、キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー

⚫︎乳酸菌、オリゴ糖

【効能】
腸内環境を整える、他の栄養素の効果を引き出す

【食材】
(乳酸菌)
ヨーグルト、乳酸菌飲料、ナチュラルチーズ、味噌、醤油、漬物、キムチ、ザーサイ

(オリゴ糖)
きな粉、インゲン豆、ごぼう、大豆、甘酒

質の良い卵子を育て、妊娠力を高めるだけでなく、妊娠継続力、出産力、ゆくゆくは生まれてくる我が子の健康・発達にまで影響を及ぼします。これだけの栄養素を、どのように摂取していくのか、必要な知識や方法を今後も発信していきたいと思います。

目次