女性のからだは血が基本──“血を増やす”という新しい視点

私たちは「血流が悪い」と聞くと、つい“血液がドロドロしている”状態を想像します。
そのため、多くの人が血液をサラサラにする食べ物やサプリを意識しますが、実はそこに盲点があります。
血流が悪くなる本当の理由は、血液がドロドロしているからではなく、そもそも血液そのものが不足しているから。血管の中に流れる量が足りず、細い川をかすかに水が流れるように「チョロチョロ」としか巡らない状態です。この「血が足りない」状態を、漢方医学では 虚血(きょけつ) と呼び、疲れ・冷え・肌荒れ・不眠・めまいなど、さまざまな不調の土台になります。
しかし、多くの人はその原因に気づけていません。
血流は細胞レベルであなたを変える
血液の役割は、西洋医学的にはとてもシンプルです。
酸素と栄養を全身へ運び、不要なものを回収すること。
人間の身体には約60兆個の細胞があります。そのうち 20兆個が血液の細胞 だと言われており、「血液は最大の臓器」と表現する研究者もいるほど。だから、血が足りない・血の質が弱いという状態は、細胞一つひとつが栄養不足で元気を失っている状態 と言い換えることができます。
その結果、
- 肌のくすみ
- 心の落ち込み
- 冷え
- むくみ
- 疲労感
- 髪や爪の衰え
こうした変化が、静かに身体の表面に現れてきます。
漢方医学では「女性のからだは血が基本」
西洋医学では血液を“循環の視点”で捉えますが、漢方医学ではより生活と感情に寄り添った考えがあります。そのひとつが、「女性のからだの健康は血で決まる」という考え方。
月経・妊娠・出産・更年期…。
女性の身体は一生を通して“血”と密接に関わり、男性よりも血の影響を受けやすい構造をしています。特に女性は、毎月の月経で血を失うため、男性以上に“血を増やす視点”が健康維持にとても重要。
血を失うということは、ただ「出血している」という意味だけではありません。血と一緒に、身体のエネルギー・潤い・ホルモンバランスの基盤も少しずつ減っていきます。月経周期によって気分が変わったり、疲れやすくなったり、肌が敏感になるのは、からだの中の“血の量と質”が揺れているから とも言えます。
血の質と量が、若さと寿命をつくる
「血液=鉄分」というイメージが強いですが、実は血液の主成分は タンパク質 です。血液から水分を除くと、ほとんどがタンパク質。
つまり、
- タンパク質が不足すれば血の質はすぐに落ちる
- 血の質が落ちれば細胞が弱くなる
- 細胞が弱れば、身体全体の活力が落ちていく
この流れは単純ですが、非常に本質的です。だからこそ、血の質と量を整えることは、若さ・健康・寿命の土台をつくる行為。「今を生きるため」に必要なのはもちろん、「未来の自分」を守るためにも欠かせない視点です。
血を増やす視点を持つということ
血液ドロドロを気にする前に、まず「血が足りているか?」という視点を持つだけで、身体の見え方は大きく変わります。
血が十分に巡るようになると、細胞が目覚め、肌は明るくなり、心が軽くなり、からだの芯が温かくなる。“血の巡り”は単なる循環の話ではなく、人が生きる力そのものを底から支える仕組みというわけです。
女性は特に、月経を通して毎月血を失うからこそ、「血を補う」「血を増やす」という視点が、生涯の健康にとって欠かせない鍵になります。
身体が求めていることに耳を澄ませて、「血という資源」を丁寧に育てていくことが、未来の自分へのやさしさになります。

