子どもに主導権を渡す勇気

最近の子どもたちは、本当に忙しいですよね。
学校が終われば習い事、週末は塾。スケジュール帳を見れば、大人顔負けの予定がびっしりと詰まっています。一生懸命に頑張る子どもたちの姿を見て、親は安心します。「うちの子はちゃんとやっている」と。
でも、ふと立ち止まって考えてみたいのです。
その忙しさの中で、子どもは自分の「意思」を持っているでしょうか。
「こうなってほしい」は誰の願いなのか
もちろん、子どもの可能性を広げるために様々な経験をさせることは素晴らしいことです。新しい世界を知り、自分の才能に気づくきっかけになるかもしれません。
でも、もしその予定の多くが、親の「こうなってほしい」という思いから来ているとしたら。
もしその習い事が、「周りの子がやっているから」「やっておいた方がいいと思うから」という理由だとしたら。
子どもは、自分で自分の人生を選んでいるでしょうか。
前提として、子育てに正解はないと思います。私自身も子育てをしたことはありません。だから、これは批判ではなく、ただの問いかけです。一緒に考えてみませんか。そんな気持ちで書いています。
スマホとAIの時代、子どもに必要なものは何でしょうか
今の子どもたちは、私たちの子ども時代にはなかったものに囲まれて育っています。
スマホがあれば、知りたいことはすぐに調べられます。AIに聞けば、答えはすぐに返ってきます。便利になった一方で、自分で考える時間、試行錯誤する時間は減っているかもしれません。
そんな時代だからこそ、子どもたちに本当に必要なのは何でしょう。
私は、こう思うのです。
勉強は正直、自分がしたいと思った時からでもできます。大人になってから学び直す人もたくさんいます。でも、取り戻すのが難しいものがあります。
それは、「自分にもできるかもしれない」という感覚です。
「チャレンジしてみよう」と思える心です。
そして、それらは成功体験やチャレンジした経験から生まれます。もちろん、勉強を通じてそれを体験する子どももいるでしょう。でも大切なのは、それが「親から言われたからした」ものではなく、自分の意思を持って体験したり、チャレンジしたことである、ということではないでしょうか。
「親から言われたから」の先にあるもの
仕事柄、多くの人の話を聞く機会があります。
その中で気づいたことがあります。自分の人生を手放してしまったり、諦めている人が、思っている以上に多いということです。
「本当はこうしたかった」 「でも、親が反対したから」 「周りの目が気になって」 「今さら変えられない」
そんな言葉を、何度聞いたでしょう。
特に印象的なのは、親や周りの目を気にして生きてきた人は、大人になってもなかなかそこを無視して考えることができなくなっている、ということです。
自分が何をしたいのか。 自分は何が好きなのか。 自分はどう生きたいのか。
そういった問いに向き合おうとすると、無意識に「でも、親は」「でも、世間は」という声が頭の中に響いてしまうのです。
それを乗り越えるには、大人になってからトレーニングが必要になります。固定観念を捨てることが必要になります。それは、とても大変なことです。
そして、私は思うのです。
もしかしたら、それは子ども時代に根っこがあるのではないか、と。
「親から言われたからした」 「親からしなさいと言われたからした」
そんな積み重ねの中で、いつの間にか自分で選ぶことを忘れてしまう。気づいたときには、「こんな人生に…」と、自分で自分の人生の主導権を握れなくなっている。そして、それを取り戻すことが、とても難しくなっているのです。
女性の人生と「選択する力」
特に女性の場合、この問題はより複雑かもしれません。
これまで「女性らしい人生」というある種の型がありました。でも、これからは違います。女性も、自分の人生を選択していかなければならない時代になっています。
結婚するのか、しないのか。 仕事を続けるのか、やめるのか。 子どもを持つのか、持たないのか。
どれが正解ということはありません。大切なのは、自分で選べるということ。自分の人生の主導権を握れるということです。
そのためには、子どもの頃から「自分で選ぶ」経験が必要なのではないでしょうか。小さなことでいいのです。今日何を着るか。何を食べるか。どの遊びをするか。
そういった日常の選択の積み重ねが、やがて大きな選択をする力になります。自分の人生の幸せというものを追いかけることができる。掴むことができる。
そんな力を、子どものうちから育ててあげられたらいいですね。
手をかけすぎていないでしょうか
「子どものため」
その言葉は、とても美しいですね。でも同時に、危うさも持っています。
子どものために、できる限りのことをしてあげたい。失敗させたくない。傷つけたくない。そう思うのは、親として当然の気持ちです。
でも、あまりにも手をかけすぎていないでしょうか。
先回りして道を整えすぎていないでしょうか。
子どもが転ぶ前に手を差し伸べ、悩む前に答えを与え、選ぶ前に「これがいいよ」と示していないでしょうか。
その優しさが、実は子どもから大切な何かを奪っているかもしれません。
自分で考える機会。 失敗から学ぶ機会。 選択する経験。
そして、自分の人生を自分で決めていく力。
親ができること、すべきこと
では、親は何をすればいいのでしょう。
答えは、きっと一つではありません。
でも、一つ言えることがあります。
子どもに、自分で自分の人生を選択する機会を与えること。
そして親は、そのサポートをすること。
「サポート」とは、何でもやってあげることではありません。
見守ること。 信じること。 失敗しても受け止めること。 選択肢を示しながら、最終的には子どもに選ばせること。
そして何より、親自身が自分の人生の主導権を握っていること。
子どもは親の背中を見ています。親が誰かの期待に応えるために生きていたら、子どももそうするものだと思ってしまいます。親が自分の人生を楽しんでいたら、子どももそうしていいのだと学びます。
今からでも遅くありません
もし、この記事を読んで「もう遅いかもしれない」と思った方がいたら、お伝えしたいことがあります。
今からでも遅くありません。
子どもの年齢が何歳であろうと。 これまでどんな子育てをしてきたとしても。
気づいた今この瞬間から、変えていくことができます。
少しずつでいいのです。
「今日は何がしたい?」と聞いてみる。 子どもの選択を、口を挟まずに見守ってみる。 失敗しても、「大丈夫」と受け止めてあげる。
そんな小さな変化から始めればいいのです。
そして、これは子どもだけの話ではありません。
もし、あなた自身が「自分の人生を手放してしまった」「諦めている」と感じているなら。
今からでも、取り戻せます。
時間はかかるかもしれません。簡単ではないかもしれません。でも、不可能ではありません。
「自分は何がしたいのか」 「どう生きたいのか」
その問いに、もう一度向き合ってみてほしいのです。
周りの目や、これまでの自分の枠を、少しだけ脇に置いて。

最後に
繰り返しになりますが、子育てに正解はありません。
この記事に書いたことが、すべての家庭に当てはまるわけでもありません。
ただ、一つだけ。
子どもが、そして親自身が、自分の人生の主導権を握れているでしょうか。
自分で選び、自分で決め、自分の人生を生きているでしょうか。
そのことを、ときどき立ち止まって考えてみてほしいのです。
忙しい毎日の中で、ほんの少しでいいのです。
その問いが、何かに気づくきっかけになれば。
そして、親も子も、それぞれの幸せを自分で選び取っていける。
そんな未来につながれば、と願っています。


